主なUFO事件


◎ アリゾナ州上空UFO事件 (2018年2月24日 – アメリカ・アリゾナ州) ◎

 2018年2月24日15時30分ころ、アメリカアリゾナ州南東部上空を西から東へ飛行中の民間航空機2機【フェニックスエア・リアジェット36(N71PG)とアメリカン航空・エアバスA321(AA1095便)】が謎の物体と相次いで遭遇した。
 両機のパイロットと管轄する航空路管制センターの管制官(ATC)は、その遭遇状況についてリアルタイムで交信した。
 報告によると、同州ソノラ砂漠上空を航行していた2機の民間機に対向状態で直進してきた輝く謎の物体が、両機の上空約 2,000ft~3,000ft、又は10,000ft以上の高度を東から西へ高速で通過したという。
 フライトスケジュールには該当する航空機の登録情報はなく、また、航空路監視レーダー(ARSR-4)のスクリーンには航空機の機影以外は表示されず、航空機のトランスポンダにも反応はなかったのである。
 本事件は、大手のワシントンポストやUSAトゥデイなどをはじめとして、ローカルのフェニックスニュータイムス紙やTV、ラジオ局及びABCニュースなど多くのメディアが報じた。

 パイロット及びその代理人とのインタビュー内容を掲載したメディアは、「遭遇は30秒間にわたって続いた」「水平飛行」「全体が強烈に輝く」「光体の高度は約4万ft~5万ft(約12,000m~15,000m)」「飛行速度は通常のジェットライナーとほぼ同速度の約500mph(約800km/h)」「航空機に対向する状態でその上空を通過した」「グーグルの気球ではない」「レーダーには映っていない」などという貴重な証言を紹介している。
 これらの証言を精査して消去法を採用すると、人工衛星の残骸説やスペースデブリ説、或いは火球(含む彗星)落下説などは除外されることから、アリゾナ州上空で民間機が遭遇した物体は、気球(含むドローン)や実験機、無人偵察機であったか、或いは未確認飛行物体(UFO)であった可能性が高いと考えられた。
 事件が発生した空域の管轄はテキサス州・アルバカーキ航空路管制センター(ARTCC)が担当しており、アリゾナ州南部・ピマ郡のAjo Peak(アジョまたはアホピーク・標高798m)には、長距離三次元レーダーARSR-4(AN/FPS-130)が設置されている。
 本誌では、事件のより詳細な内容と遭遇物体の正体を明らかにするべく、米運輸省の下部機関である米連邦航空局( FAA : Federal Avi-ation Administration)へFOIAに基づき関係データの提供を依頼した。
 FAAとは、航空機の開発から製造、修理、型式証明の発行などという民間航空の運航、管制、安全管理などの全てを統括する部局である。
 1986年11月、JAL貨物機と巨大UFOとがアラスカ上空で約30分間にわたって遭遇したが、その遭遇事件に関する全ての報告記録がこのFAAに保管されている。
 現在6度目の納期の延期後、開発を凍結した三菱スペースジェット(M90)もFAAからの型式証明の取得を目指していた。
 そのFAAからは管制官とパイロットとの交信内容を記録したAudio records(DVD-R)と、ARTCCのエリアにおいて刻々と移動する該当機などを映しだしたレーダースクリーンムービー(DVD-R)の2本が送付されてきた。

 では、FAAから入手した2本のDVD-Rと収集した他の関連データに基づいて総合的に分析した本事件の詳細な内容を時系列で紹介する。
特にこの2本のDVD-Rの分析からは思いもよらない新事実が浮かび上がってきたのである。

★15:28:00分頃
カリフォルニア州西海岸の空港を離陸した米軍のチャーター機であるフェニックスエア所属のリアジェット36(N71PG)は、東方向のジョージア州カータスビル空港を目指して、アリゾナ州のソノラ砂漠上空の高度約37,000ft (約 11,100m)を時速約800km/hで飛行していた。

★15:28:00分頃
カリフォルニア州・サンディエゴを離陸したアメリカン航空所属の旅客機1095(AA1095便)
は、N71PGとほぼ同一の航路を東方向のテキサス州ダラス・フォートワース国際空港を目指して、同ソノラ砂漠上空の高度約37,000ft(約11,100m)を時速約800km/hでN71PGの後方約68kmを飛行していた。

★15:28:45
N71PG クルー2名(パイロットとコ・パイロット)が機の前方約13.3kmに強い輝きを放つ一個の光体(物体)を発見した。

★15:28:45~15:29:15
N71PG 「あれは何だ?」とクルーが相次いで声を上げる。
その発光体は機に対向する状態で進んで(飛行して)きた。
発光体と機との距離は徐々に縮まったがクルーは恐怖を感じていない。
クルーは機の飛行高度よりも発光体の飛行高度が高いと想定した。
クルーはウインドシールド(フロントウインド)に指を押し当て発光体の高度を測定した。
クルーは発光体の飛行高度を約47,000ft (14,100m)~約50,000ft(15,000m)と推定した。
機と発光体との高度差は約10,000ft(3,000m)~約13,000ft(3,900m)であった。
発光体は強烈な輝きを放ちながら機の上空約3,000m~約3,900m付近を、機の進行方向とは反対の東から西へと進んでいた。
発光体の強烈な輝きに関するパイロットのコメント「朝目を覚まして明るい光を見つめたようであった。その強烈な輝きはフロントガラス全体を満たしているわけではなかったが、西に向かって飛行中の一個の光源からもたらされているように見えた。」また「太陽の光を反射している面だけが輝いているのではなく、全体が強く発光して見えた」と・・・・・・

★15:29:15
N71PG 発光体が機の上空を対向状態で通過して見えなくなった。
パイロットは発光体の通過時の速度をN71PGと同速度の約500マイル(800km/h)と推定、目撃継続時間は約30秒であった。

★15:29:40~45
N71PG 同空域内への他機(アメリカン1095)の接近を知ったパイロットは警告も兼ねて、「約30秒前に他の航空機が同機の上空を通過したか否か」についてアルバカーキ航空路管制センター(ARTCC)の管制官(ATC)へと問い合わせを行う。

★15:29:50
ATC「ネガティブ」とN71PGへ否定的な返答をする。

★15:29:53
N71PG ATCの返答を了承。

★15:29:57
航空会社不明 “UFOだ!”と声が上がる。

★15:29:59
N71PG 笑いながら“そうだね”と同調。 ★15:33:18
ATC 発光体がN71PG の上空を通過した約4分03秒後(243秒後)。
警戒の意味合いを込めて1095へ指定区間内(前方15マイル以内)での上空の監視と未確認物体に遭遇した際の通報を依頼した。

★15:33:27
1095 ATCからの依頼に多少の違和感を抱きつつその依頼内容を復唱、同意する。

★15:33:31
ATC  1095へ前方の監視とターゲットとの遭遇時の通報を依頼したことに対して
「前方を飛行中の他機が未確認物体と遭遇したが、ARTCCのレーダーはそのターゲットを補足していない」との状況説明を行う。

★15:33:41
1095 ATCの状況説明を了承。

★15:33:43
N71PG パイロットが遭遇物体について「航空機ではない」とATCへ再度説明。

★15:34:35
1095 発光体がN71PGの上空通過から約5分20秒後(320秒後)監視中のパイロットが発光体を目撃、機の上空(真上)通過直後にATC へ通報する。

★15:34:39
1095 続けてパイロットはATCへ報告。
「気球(バルーン)かどうかはわからない。ビーム状の放射又は強烈に反射して見えた」さらに「ピカチョとマンモスの間のソノラ砂漠上空で遭遇した物体が機の数千フィート(2千~3千フィート)上空を反対方向へ飛んで行った」と語った。

★15:34:45
ATC 1095の報告を了解する。

★15:34:59
ATC バルーンの可能性を想定したATCは、1095へ発光体がモーションか、ホバリングかの何れの状態であったかについて再度説明を求める。

★15:35:03
1095 パイロットは「バルーンであるか否かその解明はできないが、真上を通過時には強烈に発光して見えた」と返答する。

★15:35:11
ATC 1095の説明を了解。

★15:35:31~37
航空会社不明
「グーグルプロジェクトのバルーンですか」と誰かが1095へ問い掛けた。
その可能性は「疑わしい」と1095のパイロットが返答。
続いて、他の2機から「UFO」との声が相次いで上がった。

★15:36:45
5904 「私達は目撃できなかった」と。
以上が交信記録とその解説である。

 以下は、メディアが本事件に関して関連部署へ問い合わせた内容と返答。
▲FAA中部州の広報マネージャー(リン・ランスフォード氏)
「2機のパイロットとの短時間の会話以外に、管制官は他の航空機がこの空域にいたことを検証することができなかった。われわれは他の多くの機関と密接な協力関係にあり、高空の気象バルーンを含むこのエリアのあらゆる種類の軍用機や民間機の運行を毎日安全に処理している」と回答。

▲フェニックスエアの広報担当者
「リアジェットのパイロットは飛行中に何度もバルーンを目撃している。今回の物体もバルーンと同様、レーダーで追跡されず、リアジェットの衝突回避システムのアラームも鳴らなかった」さらに「後日の詳細なブリーフィングで「バルーンと同様まったく音がしなかった。バルーンはもちろん垂直方向には高速で飛行するかもしれないが、水平方向にはスピードはでないでしょう」とパイロットの見解を紹介。

▲Googleプロジェクト広報担当者
「私たちは当時そのエリアでバルーンを飛ばしていませんでした」と回答。

▲Googleの親会社AlphabetのイノベーションラボであるXの広報担当者
「2月24日にアリゾナの空域で見られた物体は“Project Loon”のバルーンではない」と回答。

▲アリゾナ州グレンデールのルーク空軍基地とニューメキシコ州ホワイトサンズミサイル発射場の各代表
「その日の午後、該当のエリア(高度)で航空機は飛行していなかった」と報告。

▲アリゾナ州ツーソンのデビスモンサン空軍基地
「その高さで飛べる航空機は保有していない」と報告。 

 FAAやメディアのデータ及び関連部署への問い合わせによって、本事件の内容や飛行物体の正体がより鮮明になってきたと考えられた。
 また、集まったデータの分析から幾つかの疑問点が浮上してきた。
 その疑問点とは!
① 2機のパイロットが視認したものはGoogleバルーンや実験機(含む無人偵察機)、ステルス機などであったのか?
② 未確認物体がN71PGから1095までの遭遇に計算上の2倍の飛行経過時間を要しているがそれは何故か?
③ 他のデータが投げ掛けた遭遇地点(ピカチョとマンモスの間)の信頼性?
では、これらの疑問点について検証する。

◎2機のパイロットが視認したものは何か!?◎

◆Googleバルーン(気球)の可能性
 GoogleのProject Loonは「成層圏気球インターネット計画」を意味する。
 多数の気球は成層圏の最上部(15km~20km)を流れるジェット気流に乗って西から東へ飛ぶか、目的に応じて自動操縦システムにより長時間同一区域に留まるために高度を変えて8の字型の飛行を行うことがある。
 動力はソーラーパネルと充電池で気球のサイズは完全に膨らんだ状態で15×12m、現在ニュージーランドで試験が開始されている。
 また、動力にバーナ(気化ガス)を使用する熱気球やヘリウムガスとバラストを使用するガス気球、そして、熱気球とガス気球の長所を併せ持つロジェ気球(ハイブリッド気球)があるが、一般的には上昇と下降、或いは風で流されるだけで高速では飛行できない。
 本事件が発生したアリゾナ州南部上空(北緯33度付近)の8,000m~13,000m付近では、30m/s~40m/sの亜熱帯ジェット気流(冬季間)が西から東ヘと吹いている。
 この強風に逆らって東から西へと800km/hの高速で気球が飛び続けることは不可能であり、強力な推進力を発生するエンジンでも搭載していない限りそれは無理なことなのである。

◆実験機・記録機の可能性
 Xプレーンとは米国の実験機・記録機のシリーズの名称である。
 1946年の初号機から2020年までに57機(X-1~X-57)が開発され、続いて超音速からのソニックブームの抑制を目指した最高速度940マイル/h(1,504km/h)、巡航高度55,000ft(16,760m)前後のX-58が、2022年の完成を目指して目下開発中である。
 最近のX-56(ロッキード・マーティン)、X-57(NASA)を除いた他の機種は、「開発中止・研究中止・不採用・退役」の何れかの状況となっており、唯一X-56とX-57が現用されているが、両機とも最高速度が222km/hと低速であることから、発光体の飛行速度800km/hには到底及ばない。
 よって、全ての実験機・記録機は該当しない。

◆無人偵察機(UAV)の可能性
 本事件が発生した2017年度以降に現用されていた無人偵察機(UAV)には、RQ-1・MQ-1プレデター、RQ-4グローバルホーク、MQ-9リーパー(最高高度15,200m・最高速度482km/h)、改良型のMQ-9Bスカイ&シーガーディアン、及びイランで撃墜されたステルス性のRQ-170センチネルと2014年に運用試験を開始して2019年より運用を開始した同じくステルス性のRQ-180などがある。
 飛行速度においてRQ-1・MQ-1・MQ-9は完全に該当せず、RQ-4も巡航速度から求められる最高速度は僅かに800Km/hを超えてはいるがこの機もほぼ該当はしない。
 ステルス性のRQ-170とRQ-180については諸元・スペックが公表されておらず結論を出すには至らないが、遭遇空域を管轄するARTCCのATCは、パイロットは物体を目視しているが「レーダーはそのターゲットを補足していない」と言及したことで、遭遇した未確認物体はステルス性能を有しているとも考えられた。

◆ステルス戦闘機(含む攻撃機)の可能性
 無人偵察機から範囲をステルス戦闘機などに広げると多面体の機体形状が特徴的なF-117Aナイトホーク、最強の戦闘能力と推測できるF-22・F/A-22ラプター、そして多目的用途ステルス戦闘機であるF-35A・B・Cライトニング、他には戦闘機ではないがステルス戦略爆撃機B-2スピリットなどが浮上する。
 既にF-117Aは2008年で退役しているが2014年と2019年に目撃、撮影されたことからデータ収集を目的としてまだ数機が保有されているようだ。
 では、諸元やスペックにもよるがこれらのステルス機の中からあえて小振りなF-35Aを未確認物体であったと仮定し、多様なデータを紹介しながらその可能性を探る。
民間ジェット旅客機の基本的飛行高度は約 10,000m(状況により前後2,000m)である。
 視力1.0(視角1.0分)の人が上空10,000mの高度から地上を見下ろした時、軽自動車に匹敵する約3m大の物体の視認が可能であり、また、直径1.6mの物体を真正面から見ると5.5kmの距離での視認が可能とされている。
 参考までに、日本のANA(全日本空輸)のパイロットには「各眼の矯正視力0.7以上」が求められ、航空自衛隊のパイロットには「遠距離視力裸眼で両眼とも0.2以上、矯正視力は1.0以上、近距離視力裸眼で両眼とも1.0以上」が求められている。
 未確認物体との遭遇時の最短距離は、1095便の600m~900mであり、遭遇物体と仮定したF-35Aの全長は15.7m、全幅は10.7m、全高は 4.4mである。
 正面から見た胴体(含むキャノピー)と考えられる部分の寸法は、約3.6m×2.2mの歪な楕円形で、視力1.0のパイロットがこの物体(胴体)の視認可能な距離は概ね10km前後である。
 2018年2月18日15:30分ころの太陽の方位は南約215度、N71PGと1095便の飛行航路の南約60kmに位置する都市ツーソンの当時の太陽の高度は約40度で、東から西に進行する物体の左斜め前方上空から燦燦と太陽光が当たっている状況であった。
 基本となる太陽の方位、高度や他のデータに基づいてF-35Aへの太陽光の照射面を割り出すと、機体の胴体上面(表面)と左側面・主翼と水平尾翼の上面及び垂直尾翼の左面となる。
 一方、太陽光の非照射面は、機体の胴体裏面(底部)とキャノピーの右下部、主翼と垂平尾翼の裏面及び垂直尾翼の右面となり、一般的にはこの非照射面はダーク状態として視認されるはずだ。
 だが、「太陽光を反射している面だけが輝いているのではなく、全体が強く発光して見えた」と常識では理解しがたいパイロットのコメントである。
 例外なく民間機・戦闘機には、赤と緑の航空灯(翼端灯または位置灯)、衝突防止灯、編隊灯(戦闘機)、及び主翼の付け根付近や首脚に取り付けられた着陸灯、タキシー灯など多くの灯火が装着されている。
 これらの灯火の中で強烈に発光する灯火は着陸灯や滑走路上で使用するタキシー灯であるが、前方や斜め下方を白色光で照射する着陸灯の点灯義務は、高度10,000ft(3,000m)以内となっている。
 つまり、高度8,000mの上空では点灯する必要性はないし、仮に点灯したとしても照射角度の関係から戦闘機全体が発光して見えることはあり得ないのである。
 過去の航空祭の取材体験に基づくと、距離1km以内で頭上を通過したF-15(全長20m・前幅 13m・全高5.7m)を何度か目撃、撮影しているが、その印象は①クッキリとした形状が確認できる②地上から見上げた戦闘機の底部(胴体・翼など)は太陽光が当たらないダーク状態であった。
 この状況は遭遇物体の底部を視認した筈のN71PG及び1095便のパイロットも同様であるはずだが、「太陽光の当たらない面も強く発光していた」と強調したことで、ステルス戦闘機を含む航空機の目撃ではあり得なかったことがこのコメントから裏付けられた。

 以上、多様な観点から考察した結果、民間機のパイロット2名が遭遇した物体はGoogleバルーンではないことはもちろんのこと、実験機・試験機・無人偵察機・ステルス戦闘機などにも該当しないことが判明した。
 仮に軍関係の極秘の任務及び試験飛行であろうと該当空域を管轄する航空路監視センターへのフライトプランの提出は必須条件である。

◎未確認物体の不可解な行動◎

 多くのメディアは「2機のパイロットが同一の物体を目撃した可能性がある」と報じた。
 遭遇状況から判断すると、ほぼ同一のエアールートを約68kmの間隔で西から東へ航行中の2機の上空を、発光体(未確認物体)が東から西へと通過したわけであるからそのような解釈も当然のことなのかもしれない。
 しかしながら、判明している飛行速度や経過時間及び算出された距離などに基づいて分析すると、その物体の不可解な行動が判明し、状況次第では2機の航空機は各々別々の物体と遭遇した可能性も考えられるのである。
 では、未確認物体の不可解な行動とは!

 未確認物体(約800km/h)のN71PG上空通過時点での1095便(約800km/h)との2点間の距離は約 68kmで、両者がすれ違う時の相対速度は 約 1,600km/h(444m/s)である。
 この条件で計算すると両者がすれ違うのに要する時間は約2分33秒(153秒)であるが、実際には両者がすれ違うのに要した時間は約5分20秒(320秒)であった。
 この2倍以上の時間の経過は何を意味するのだろうか?
 未確認物体がN71PGとすれ違った後も同速度で移動を続けたなら2倍もの経過時間を必要とせず、不可解な事象も発生しなかった筈である。
 おそらく、両者か、或いは何れか一方の行動にその原因があると考えられた。
 FAAのAudio recordsのチェックでは一定の速度で飛行する1095便には別段不可解な行動は認められなかった。
 となると、未確認物体にその原因が求められるのである。
 本来ならN71PGとの遭遇地点で未確認物体が移動を中止するか、速度を極端に減速しない限りその地点より約34km西方向の空域で1095便と遭遇することになる筈だ。
 だが、実際はN71PGと遭遇した地点より約3kmも後退した東よりの地点ですれ違っていることが5分20秒の数字の分析から判明している。
 未確認物体はN71PGとの遭遇後、その空域からまるで移動していないばかりか、後退していたことになるのである。
 このような状況からは、未確認物体の同空域内での次のような行動が想定された。
 ①ホバリング ②旋回 ③一時消えて再出現 ④消えて別の物体と交代、などである。
 では、①~④を参考に推測を交えて未確認物体の意図的とも考えられる行動を想定する。
 未確認物体はN71PGの上空通過後、その空域に戻りターゲットの1095便を待ち構えて待機した。
・未確認物体は1095便がその空域(N71PGとの通過ポイント)に差し掛かった時点で、パイロットが視認可能な機の数キロ前方に発光状態として出現、ターゲットの上空に照準を合わせスタートを切った。
・未確認物体は1095便の上空約600m~900mのラインを、バルーンや戦闘機などとの誤認を招かぬように強烈な発光体の様相を呈して速度約800km/hで1095便の上空を通過した。
このような状況が想定されたのである。
 仮に未確認物体の行動が①~③であればN71PGと1095便は同一の物体と遭遇したことになるが、④であれば1095便はN71PGとは別の物体と遭遇したことになる。
 何れにしても未確認物体が1095便との遭遇に要した5分20秒という数字は、未確認物体のホバリング、旋回、一時消えて再出現、別の物体との交代という何れかに該当する不可解な行動を示唆しているのである。

◎THE DRIVEのデータから遭遇地点を特定する◎

 メディアは未確認物体との遭遇位置をアリゾナ第2の都市ツーソン(Tucson)の北方約60km の東西のライン上に位置する町 ピカチョ(Picacho)とマンモス(Mammoth)の間であると報じている。
 両地点間の距離は約83km、その上空には東西に航路が走っている。
 本事件を特集したTHE DRIVEは、フライト追跡サービスであるFlightradar24を活用して西から東に移動する両機の航路及び飛行位置をマーキングしたマップをWeb サイトに掲載した。
 N71PGのマーキングはマンモス付近、1095便のマーキングはピカチョの東方約30km付近で「現地時間15時47分ころの両機の飛行位置」と説明している。
 このマップは遭遇地点を特定するうえで大変重要なデータとなる。
 しかし、マップに記載された15時47分と、FAAのレーダースクリーンムービー(DVD-R)が記録した1095便と未確認物体との遭遇時間15時 34分35秒とを比較すると、両者間に約13分 (780秒+最大35秒)の差異が生じている。
 THE DRIVEのデータを参考にするなら既に遭遇時間から13分以上経過している訳であるから、N71PGと1095便のマーキングの位置が遭遇地点とならないのは明らかである。
 本来の遭遇地点を特定するには、余分に経過した13分を距離に換算し、求めた数値を1095便のマーキングの位置から西方向に遡る(マイナスする)作業が必要であると考えられた。

 では、速度と時間と距離の関係から余分な移動距離を求めると、対地速度約800km/h(222m/s)、経過時間約13分(最大+35秒)では移動距離は約173km(最大+7.8km)となる。
 1095便のマーキング地点から飛行コースを約173km(最大+7.8km)西方向に遡れば、そこが本来の遭遇地点となり、N71PGの遭遇地点は、その地点よりさらに約3km西寄りである。
 1095便の遭遇地点を地図上に求めると、アリゾナの州都であるフェニックス(Phoenix)の南西約100km付近、またはハイウエイ85号線のジャンクションがあるヒラベンド(Gila Bend)の北西約40km付近である。
 約13分の移動距離の修正によってN71PG及び 1095便と未確認物体との遭遇地点が特定できたのである。
 また、レーダースクリーンのデータブロックが表示した指示対地速度943km/hに基づけば、遭遇地点は1095便のマーキング地点から約204km西方向に遡ったサンダッド(Sundad)付近である。
 何れにしても広大なアリゾナのソノラ砂漠上空であることに変わりはないが、特定した遭遇地点はあくまでもTHE DRIVEのデータに基づいて導きだされたものであり、データに誤りがあればおのずと遭遇地点も変更されることになるのである。

 本事件の未確認物体は約30秒間も目視されたにも拘わらず、管轄するアルバカーキ航空路管制センターのレーダーや機に搭載のATCトランスポンダ(航空交通管制用自動応答装置)には反応しなかった。
 さらに600m~900mという比較的至近距離からの底部への視認であったが、航空機なら本来視認されるべきシャドウに関しての言及がなく全体が強烈に輝いていたと報告されているのである。
 多様な視点から検証した結果、Googleバルーンや軍の実験機・記録機・無人偵察機・ステルス機などの可能性は除外された。
 そして、アリゾナのソノラ砂漠上空で2機の民間機が遭遇した輝く物体は、最後に残った UFOであったとの結論に至ったのである。
 仮にUFOがN71PGとの遭遇後も約800km/hの一定の速度で移動したのであれば1095便との遭遇地点は、N71PGとの遭遇地点より約34km西寄りとなる。
 だが、実際はその地点より約37kmも東寄りであった。
 この事実からUFOが1095便の航路、高度、速度を完全に熟知した意図的な行動をとっていたと推察できたのである。
 明らかに高度な知性の持ち主によってコントロールされた物体のなせる業であり、同時に無限の宇宙に高度な文明が存在することの証左となったUFO事件でもあった。
 州都フェニックスのファルコン・フィールド空港にはパイロットの育成施設がある。
 ここではアメリカン航空や日本航空(JAL)、中国、ベトナムなどのパイロットの育成が行われており、訓練機として小型プロペラ機とビジネスリアジェット機が使用されている。
 今回、UFOと遭遇したのはアメリカン航空とフェニックスエアのリアジェットであったが、偶然とは言い難いものがある。
 想定の域を出るものではないが、次にUFOと遭遇するとしたらJAL機か、中国機、或いはベトナム機なのかもしれない!!